ラフォーレと私雨と、生き物の気配と。
修善寺を訪れてからひと月ほど。今も印象に残るのは、島崎さんのお話の中で出てきた常連のお客さんのことだ。繰り返し同じ場所を訪れる常連客の楽しみとは何なのだろうか。二週間ほど滞在する人もいるという。一度来ただけでは満足できない、何度も来たくなるのはなぜなのだろうか。
島崎さんに聞くと、常連の方は観光に来るというよりは、やすみに来るらしいということだった。「温泉に入ったり、富士山を見たりしているようです」。そう教えてくれたが、それなら温泉や富士山の眺めの何が他と違うのか、せっかくなら利用者の目線で直接話を聞きたいと思った。滞在中、温泉などで一緒になることがあったら聞いてみようと思っていたが、結局その機会には恵まれなかった。